2012年11月24日

建築家の別荘

昨日、建築家の香山壽夫先生の別荘にお邪魔させて頂いた。
香山先生は、東京大学名誉教授にして、ルイス・カーンに師事した日本屈指の大建築家。
そして僕の三重大の恩師の師にあたる方で、多くの著書で勉強させて頂いた大先生。

「千ヶ滝の山荘」は香山先生自身の別荘で、昨日は香山先生が直々に建物内を案内して下さった。
プライバシーもあるので、建物内の写真は撮りたかったけど、我慢して目に焼き付けて。。。
道路から外観だけパシャリ!
IMG_2467.jpg
建築家の自邸や自身の別荘は、実験的な設計が行われているので、最も興味深い建物。
「千ヶ滝の山荘」では、内外の境界となる『窓』のコンセプトが特徴的で、
開口部へあらゆる挑戦が施されていた。
まず、この建物のガラス窓は全て「嵌め殺しのFIX窓」で、「引き違い」も「滑り出し」も無く、
動くガラスは一切無し。
その代わり、板戸の窓が必要に応じて設置され、
光と景色はFIXのガラス窓から、開放感と風は板戸を開いて、と窓の機能を分解して、
軽井沢の豊かな自然を取り込む工夫が施されていた。
造作・仕上材・小物など、品のある素朴なデザインで統一されており、
築30年経過していたが、古さを感じさせず、月日を重ねた味のある空間に包まれていた。
「鎌田君の恩師も、ここへ良く遊びに来ていたんだよ」とお聞きし、
香山先生のアトリエが三重大恩師の部屋にそっくりで、ちょっとニヤリ。


建築家自身の別荘に立ち入って見学したのは、これで2件目。
以前、吉村順三先生の「森の中の家」を見学した事がある。
y0182[1].jpg
吉村先生は東京芸術大学名誉教授にして、アントニン・レーモンドに師事した、
こちらも日本屈指の大建築家。
そして独立前に勤務して、設計のイロハを教えて頂いた出澤潔先生の師にあたる大先生。


香山先生と吉村先生の別荘を見学し、多くの共通点を感じる事が出来たが、これは内緒♪(^^)
同時に自分の発想は、まだまだ既成概念に縛られていて硬いと実感した。

二人の師のルーツを見れた事で、より深くこれまで学んだ事を理解する機会となった。
建築は写真や図面では感じ取れない、特別な空気が現場にはあるので、大変貴重な機会を頂けたことに感謝。

香山先生は75歳にして、現役バリバリ。
東大名誉教授なので、難しい話をされるのかと思いきや、楽しく品のある話ぶりで、
各所に放り込まれる冗談には、ヤンチャな人柄が垣間見えた。
「薪ストーブの薪割り」と「別荘前の家庭菜園を荒らすサルを追い回す」のが、今の楽しみとの事。(笑)

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posted by カマタ at 15:34| Comment(0) | 日記

2012年11月13日

鎌田建築実験室 〜透湿材料編B〜

■実験結果■
実験を行ったのは2010/11/10。
ちょうど2年前の今時期で、グラスの曇りを確認する為にはちょうど良い寒さで、室温20度の環境下にて実験を行った。

IMG_0799.jpg

【透湿しなかった建材】
下記の3種の建材においては、湿気の透過は確認できなかった。
・防湿気密シート
・スタイロフォーム
・グラスウールを覆うビニール(内面)

【透湿した建材】
その他の建材は全て透湿し、グラスが曇るまでに要した時間は下記の様になった。
1位:透湿防水シート /  5 秒
1位:グラスウール /  5 秒
2位:石膏ボード /  20 秒
3位:ダイライト /  60 秒
4位:ビニールクロス / 120 秒
5位:コンパネ / 220 秒
6位:針葉樹合板 / 260 秒
7位:無垢板材 / 270 秒
8位:インシュレーションボード / 360 秒
9位:フローリング       / 600 秒 

という順位が付いた。

曇り画像.jpg

実験をして気が付いた事がある。
「湿気を通す」という表現は、透湿シートのような『幕材』には適切であるが、
合板や石膏ボードのような『ボード材』は「湿気を吸って出す」という表現が適切と思われる。
またボード類はカップから外した際に、カップ側のボード下面に
・水滴が付くモノ
・湿っているモノ
に分かれた。

水滴画像.jpg

【実験考察】
予想以上の建材が湿気の透過を許す結果となった。
石膏ボードの透湿速度は非常に早く、防湿気密シートの必要性を感じた。
インシュレーションボードは透湿時間は遅いが、ボード下面の水滴はなかった。
ダイライト、針葉樹合板、コンパネ、フローリングは、ボード下面に水滴が生じていた。
この水滴ができるという事は、結露しやすいという事に等しいと考えられる。
湿気を通すスピードは速くても、建材の吸湿許容量が少ないと結露が生じてしまうらしい。

実験結果より、私的見解では『インシュレーションボードが最も結露しにくい材料』と考える。
湿気の通過する時間は遅いが、ゆっくりと大量に吸いこんで、放出するというイメージ。
湿気の量は、室温や環境により大きく異なる為、透過速度よりも結露しにくい事が重要である。

またインシュレーションボードは、「断熱材」としての性能も大きい。
グラスウールによる充填断熱を採用した際には、外張り断熱材を張っている事に等しくなる。
「結露しにくい透湿」+「断熱」の性能を有している材料である為、
寒冷地のウール系断熱材を用いる際、外壁下地に最適な材料は

『インシュレーションボード』

と考えられる。
実は以前からインシュレーションボードを採用していたので、この実験はその点の確認作業でもあった。
水滴が出来ずに湿気を大量に吸収するという点は、実験によって初めて確認できた。
尚、インシュレーションボードの種類によっても透湿性能に差が生じたが、その点に関してはカタログ表記の通りとなった。

内容が専門的にならないように配慮したつもりであったが、一般の方は???の内容となってしまった。。。
寒冷地における断熱の方法には、設計者の各々の考えがある。
どんな材料をどう扱うか。
確かな性能は、細かい材料選定の上にのみ保証できると考えている。
小さな疑問を自分の目で確認する事で、大きな確信を得る事が出来た。

長文読破、お疲れさまでした。m(_ _)m

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posted by カマタ at 20:22| Comment(3) | 日記